west2番 Par4 右グリーン292y。
本当にここのホールは、平らで広くて気持ちいい!
お嬢は、缶ビールを開けて「ナイスパー!」と言いながらビールをグイッと飲んだ。テンが前のホールでパーを取ったのだ。
パーが入ったらビールを開ける、これがいつものテンとのお決まりパターン。
前の組がグリーンへと歩き出したところでテンがティーショットを打った。
豪快に250ヤード近く飛ばした。
やや左寄りだが、林が邪魔にはならない位置に落ちた。
テンはご機嫌に残りビールをゴクゴクと飲んだ。
お嬢のティーショットは右へ曲がって150ヤード付近で落ちた。
「またスライスか・・・。打ち込むときの体の回転が足りないな」と独り言を言いながら、カートへと戻った。
テンは、それが理由ではないような気がしているが、ここは敢えて何も言わない。
お嬢は、ユーティリティを持ってボールへと向かった。
残り140ヤード。グリーン手前の右側にあるバンカーが気になるが、
いい当たりをすれば、エプロンかグリーン手前には落ちるだろう、と呼吸を整えてクラブを振った。
「バンカーだ!」テンが即座に叫んだ。
お嬢は、「そこまで行ってこの目で見るまでバンカーに入っているかは分からない」と微かな望みを持って、カートへ乗り込んだ。
そんなお嬢の気持ちをつゆ知らず、テンはカートを動かしながら、
「またバンカーに入っちゃったね。残り50ヤードくらいかな、必要なクラブ全部持ってって。」と告げた。
少しは歯に衣着せて欲しいと思いながらも、ボールが落ちるところを見届けてくれるし、ファストプレイを心掛けて段取りよくプレイを回してくれるし、お嬢はテンを頼もしく思っている。