west1番 Par4 右グリーン346y。
今日のスタートホール。
アプローチ練習場に行き交う人達や、後続プレーヤーの目線を感じながら、お嬢と幼馴染の3人は、「今日1日よろしく」と挨拶を交わした。
1度は交友が途切れたものの、つい最近再会し、本日初めてのゴルフ会。
ティーショットは、手前にある大きな木と奥の木の間に落とすのがベスト。
左サイドは谷間になっているため、要注意。
1番手は、大の仲良しだった久美ちゃん。
ポニーテールでまとめた長い髪を振り回しながらスイングし、ボールは、手前の大きな木の右側すれすれを通り抜けてフェアウェイのど真ん中に落ちた。幼馴染の出来栄えに、「ナイスショット!」と皆が一斉に声を上げた。
2番手は、まこちゃん。
女の子のように優しくて気が合い、毎日ように遊んでいたが、やはり女の子だった。構えた恰好もスイングも非力な女の子のようだ。しかし、当たったボールは200ヤード以上は飛んでいる。「ナイスショット!」まこちゃんを普通の女の子だと思ってチラ見していた人たちも思わず声を漏らした。
3番手は、お嬢。
師匠の「タコになれ!」という教えを思い出して1度素振りをしてから、2本の木の間を目指して、思いっきりクラブを振り回した。
ボールは、キーンといい音を立てて目標の方向へ真っ直ぐに飛んで行った。皆が「ナイスショット!」と声をかけてくれて、胸いっぱいに幸せを感じた。
4番手は、ひろくん。
唯一男の子らしく、架空の悪者を作り上げては、皆を守るために戦ってくれていた。小学生のときに東北に引っ越しったのだが、就職して東京に戻ってきた。そんなひろくんのティーショットルは、力強く青空へと飛び出して行った。これまた「ナイスショット!」
全員がナイスショットのスタートとなった。
今日1日楽しいゴルフになりそうで、皆が目くばせをして笑いあった。
子ども頃、暗くなるまでみなで仲良く遊んでいたときのように、これからは、年に数回集まってゴルフをすることになるだろう。
4人は、ウキウキしながらカートへと乗り込んだ。